そもそも、ポリスイッチというのは、PTCサーミスタの一種です。この「ポリスイッチ」は、タイコエレクトロニクスの商標です。
電子部品メーカー各社も、PTCサーミスタを製造しています。
PTCサーミスタとは、温度が上昇すると、電気抵抗も大きくなる素子です。特に、特定の温度を超えると急に抵抗が大きくなることで、ヒューズの代わりにすることも可能です。
これを、実際にシナモンブレードIIに接続して、実験しました。
実験:
電源とPTCサーミスタを直列につなぎ、シナモンブレードに取り付ける
その時の、サーミスタにかかる電圧と、回路の電流を測定する。
シナモンブレードIIは、緑と黄色で光らせました。
また、シナモンブレードのLEDの代わりに、2Ωの抵抗をつけたものと
LEDをショートさせたときの電流も測定しました。
条件:
気温:22度
電源:Eneloop単3x2
使用したサーミスタ
1)村田製作所 PRG21BC0R6MM1RA (以下、PRG21) 写真中央
最大電圧 6V
不動作電流 420mA(25度)
動作開始電流 920mA(25度)
抵抗値 0.6Ω(誤差20%)
無荷電時0.50Ω
2)tyco Electronics RXE050 (以下、XF050) 写真左
保持電流値 500mA
無荷電時0.50Ω
3)tyco Electronics RXE075 (以下、XF075) 写真右
保持電流値 750mA
無荷電時0.30Ω
実験風景はこんな感じです。あんまり片付いていません。
結果:
緑、黄色、2Ω接続は、電圧・電流が安定した時の値です。
ショート時は、10秒後の値です。
電流、電圧から、抵抗値および消費電力を計算しました。
サーミスタなし
電源電圧・電流・消費電力
緑 2.352V 0.12A 0.28W
黄 2.282V 0.42A 0.96W
RPG21
条件 | サーミスタ電圧 | 電流 | 抵抗Ω | 電力W |
---|---|---|---|---|
黄色 | 0.50 | 0.52 | 0.96 | 0.26 |
緑 | 0.09 | 0.11 | 0.79 | 0.01 |
2Ω負荷 | 1.27 | 0.42 | 3.02 | 0.53 |
ショート | 2.01 | 0.33 | 6.09 | 0.66 |
XF050
条件 | サーミスタ電圧 | 電流 | 抵抗Ω | 電力W |
---|---|---|---|---|
黄色 | 0.40 | 0.52 | 0.77 | 0.21 |
緑 | 0.10 | 0.12 | 0.86 | 0.01 |
2Ω負荷 | 0.73 | 0.79 | 0.92 | 0.58 |
ショート 10秒後 | 1.13 | 0.99 | 1.15 | 1.11 |
XF075
条件 | サーミスタ電圧 | 電流 | 抵抗Ω | 電力W |
---|---|---|---|---|
緑 | 0.05 | 0.11 | 0.50 | 0.01 |
黄色 | 0.23 | 0.52 | 0.44 | 0.12 |
2Ω負荷 | 0.46 | 1.00 | 0.46 | 0.46 |
ショート 10秒後 | 0.70 | 1.52 | 0.46 | 1.07 |
この時、特性グラフの上にプロットすると、このような感じです。
グラフから外れたものは省略しています。
tyco Electroicsのものは、HがXF050、JがXF075です。
結論:
今回の実験で使った、XF050およびXF075は、今回の電流値の条件より大きなため、ショートしても電気が流れており、ヒューズのような効果はありませんでした。
グラフから読み取ると、切断されるまで約100秒かかり、この間にも大きな電力が消費されてしまいます。
RPG21は、ショート時にある程度電流が制限できているものの、通常動作でも遮断のしきい値の領域に入ってしまており、サーミスタ内で大きな電力が消費されてしまう計算となりました。
したがって、遮断するというよりも、ショートのために電線で消費される電力が、そのままサーミスタで消費することで「保護する」状態で、シナモンブレードIIには使えない、という結論でした。
元々、電池から取り出せる電力には限界があり、電流を大きくしようとすると、電圧が低下します。今回は、単3電池でもだいぶ容量が減っていたので、なおさら電圧降下が大きかったと思います。
さらに、シナモンブレードは、電圧を上げてLEDを光らせています。
krkrさんのほうで考察されている内容を引用すると、
ショートさせると、電流が大きくなります。
電流が大きいと、電池の電圧が下がります。
電池の電圧が下がると、必要な電圧を取り出すために、大きな電流が必要になります。
ある程度電圧が下がると、今度は効率が大きく落ちてしまい、さらに大きな電流が必要になります。
サーミスタがなかったら、ショートを解消することで電流が小さくなり、効率の良い領域に戻りますが、サーミスタがあると、先の回路にかかる電圧が低いままで、効率の悪い状態が続き、結局戻らないことになります。
色によって電流の変化を少なくしたり、電圧を上げずに、例えば単4x3本にすることでサーミスタの効果がでてくると思います。
電圧を上げているシナモンブレードでは、安全性はサーミスタではなくヒューズで対応したいと思います。
1988 Mercury Cougar AC Compressor
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